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[PR] 【怖い話】 こわい野球少年 【怖い話】 真夜中のサラリーマン 【怖い話】 夕闇、マンション、4Fの窓 【怖い話】 ザラザラの手
nds マジコン

怖い話タイトル







高校時代の後輩、佐々木が体験した話。

佐々木は20代後半まで「年齢=彼女なし」という生活をおくっていたが、
ネットゲームのオフ会で『メルメル』と知り合った。
メルメルは、芸能人に例えると夏穂似の21歳の大学生。
メルメルからの猛烈なアプローチにより、出会ったその日に二人はベッドを共にし、
翌日からは同棲することになった。

「佐々木くんは、運命の出会いをしたんだよ。
 私は佐々木君に運命を感じたよ」

メルメルは佐々木にそう笑いかけた。

佐々木は高田馬場のマンションに住んでいるが、そこは3LDKのファミリータイプ。
メルメルが一緒に暮らすには申し分のないスペースがあった。
しかし、その広い部屋を借りているのには理由がある。
佐々木の今の仕事は、フリーのプログラマ。
一人では仕事を取りづらいので、仲間三人と組んで開発会社から仕事をもらっている。
マンションは佐々木たちのオフィスであり、
来客時に応接スペースであり、
締め切り間際の追い込み時に三人が仕事をする場所でもあった。
年長者である佐々木がの名義で部屋を借り、家賃は三等分。
管理という名目で佐々木が住んでいるのだ。

「女を連れ込んだ」というのはヤバイかもしれない。
そんな考えが佐々木の脳裏に浮かんだが、
自分の横で同じネトゲを楽しそうにプレイをするメルメルを見ると、
「なんとかするのが自分の使命だ」と思った。

ネトゲは明け方近くまでつづく。
外が明るくなりはじめた頃、二人はログオフし、シャワーをあびる。
そしてそのままベッドで愛し合う。
心地よい疲労を全身で感じながら、佐々木はシーツに埋もれるように寝る。
数時間後。
ゆさゆさとカラダをゆすられて起きる。
「お昼ごはんができたよ」
メルメルが微笑む。
ダイニングのテーブルには、茹で上げられたばかりのスパゲティが。
あんまり美味しくないかも、と笑うメルメルを見ながら
「オレにもやっと、この世の春が来た…!」と、佐々木は喜びに打ち震えた。

危惧していた仲間たちは、あっさりと佐々木とメルメルのマンションでの
同棲を認めてくれた。
「佐々木さんには、へやの管理とかいろいろお世話になっていますから」
仲間(君塚、高橋)の二人はそう言って微笑む。
すべては順調に進んでいる、佐々木はこの時、そう思っていた。



一緒に暮らし始めてひと月が経過した頃。
佐々木は疑心暗鬼に陥っていた。原因はメルメルである。
メルメルとはほぼ毎日、明け方近くに激しいセックスをくり返していた。
その後、メルメルは大学に行くといって部屋を出る。
そして、夕方近くに帰ってくるのだが、
そのときに、自分の家にあるものとは違う石鹸の香りがするのだ。
“浮気しているのではないか?”
佐々木はすぐにそう思った。
自分より若いイケメンたちがあのメルメルの身体を弄んでいる。
そう思うと、佐々木は気が狂いそうだった。

あるとき、佐々木は学校に向かったメルメルのあとを尾行した。
数駅先で降りたメルメルは、あるマンションに入っていく。
しばらくすると男と二人で出て来る。
男は20代のチャラい感じ。
メルメルは後部座席にはいり、男はそのまま運転席に乗り、車はどこかへ向かう。
そのマンションはデリバリーヘルスの事務所。
メルメルは大学には行っておらず、デリヘルで働いていたのだ。

帰ってきたメルメルに佐々木は問い詰めた。「なんであんなところに勤めているんだ!」と。
メルメルはポロポロと大粒の涙をこぼして、語り始める。
大学に通う学費を稼ぐために今は休学してデリヘルで働いていること。
淋しくてついつい肌と肌を合わせる仕事を選んでしまったこと。
それでも、佐々木のことを愛している気持ちに偽りはないこと。
すべてを聞き終わったとき、佐々木はメルメルを抱きしめてこう言った。
「結婚しよう、僕がずっとそばにいてあげる」。
だが佐々木は、その言葉をすぐに後悔することになる。



四六時中、メルメルと二人で過ごす生活。
それは、佐々木にとって夢に見たスイートライフのはずだった。
しかし、メルメルは常に「男」を求めてくる。
ベッドの上で、佐々木からすべてを吸うかのように腰を振りつづけるメルメル。
佐々木の衰弱は免れなかった。
それでも、佐々木はメルメルの期待に応えようと努力をつづける。
それが、「彼女を大切にする」と誓った自分の務めだと。
そんな生活は、彼の生活を壊していく。
引き受けていた仕事のスケジュールは大幅に遅れ、もはや君塚?高橋が手伝っても
遅れを取り戻せる状態ではなくなっていた。
君塚?高橋の突然の来訪、叱責にうなだれるしかない佐々木。
佐々木は、仕事をもらっている開発会社に謝りに行った。
結果は悲惨としか言いようがない。
すべての信頼を失ってしまった。
マンションに帰ってくると、君塚と高橋がちょうど帰るところだった。
二人に状況を説明しようとするが、二人ともどこか余所余所しく急いで帰ってしまった。
部屋では珍しく掃除をしているメルメルの姿が。
クズカゴの中に、大量のティッシュが入っていたことを佐々木は見逃さなかった。

佐々木は仕事をやめた。
真早、佐々木にとってメルメル抜きの人生は考えられなかった。
貯金はすぐに底をつき、はじめて消費者金融のお世話になることに。
そんな自分に驚きながらも、一人の女性のためにここまでやっていることを、
いままでの人生とは違う道を歩ませてくれる試練のように思えた。
借金が200万円を超えたとき、佐々木は母親に泣きついた。
説明のためにメルメルをつれて実家に戻った佐々木を見て、母親は悲鳴をあげた。
体重は20キロ以上も減り、髪の毛も大半が抜け落ちていたからだ。
とても20代には見えない。
「婚約者だ」とメルメルを説明すると、佐々木の母親はメルメルに飛び掛った。
力づくで引き離す。
「この女狐、なんでウチの子がこんな目に遭わないといけないんだ!」
ヒステリーが手につけられなくなった母親から逃げるように、マンションに帰った。

佐々木がメルメルと一緒に暮らした期間は、7ヶ月半。
そんな生活の終わりはあっけなく訪れた。
駅前でのパチンコから帰ってくると、マンションのドアが開いていた。
中からメルメルの嬌声が聞こえる。
入ってみると、リビングでメルメルはピザ屋の店員と行為に耽っていた。
佐々木に気がついて、「あっ、す、すいません!」と
慌てて辞めようとする店員の腰に、メルメルの細い足が絡みつく。
「ダメッ、もう少しッ、もう少しだから、止めないでェ…!」
その瞬間、佐々木の恋は砕け散った。
店員が帰った後、しきりに髪の毛を直すメルメルと佐々木は向き合って問う。
「どうしてなんだ?」、と。



メルメルは答える。「だって…」

だって、まもってくれないと、出ちゃうんだもん。



「何が」と聞こうとした途端、佐々木は部屋の温度が急激に下がっていくのを感じた。
季節は夏。
業務用のエアコンの風を直接浴びているかのように、肌が冷えていく。
瞬時にして、鳥肌が立つ。
ぐわんっと視界が大きく揺れる。
まるで船にのって大きな横波を受けているかのような感覚。
床は固くて平らなはずなのに、やわらかく波打っているかのように、体を支えにくい。
息苦しさを感じはじめる。
ドック、ドック、ドック…、耳の奥で心臓の鼓動を感じる。
気持ち悪さを殺してメルメルのほうを見ようとすると、奥の部屋に「人」がいた。

いや、それは人とはいえない肉塊だった。
灰色の肌をして頭の半分がえぐれている者、
ほとんど白骨化しており、周囲に赤い肉を残しているもの、
片腕をなくしている小学生、
首のない日本兵、
着物を着た百姓風の男は体の一部が液状化している。
床には、事故でバラバラになったかのように飛び散った肉片。
佐々木の手をついているすぐ横には、髪の毛の塊が見えた。

なにが…!?
一体、自分が何を見ているのか分からない!

「まもってくれないと、どんどん出てきちゃうの」
メルメルの後ろの全身がズタズタに引き裂かれている誰かが彼女の肩に手をかける。
メルメルはそれを片手で振り払った。
(彼女は、自分が見ているこれらすべてが見えているのだ)

震えが止まらなかった。
上下の歯はガチガチといやな音を立てて、ちっとも噛み合わない。
内臓がどうかなるんじゃないかと思うほど、全身にはげしい震えが走る。
「だから─―ね?」
メルメルが猫のようにしなやかな弾力ある四足で近づいてくる。
「今から、エッチしようよ、ね?」

本能的に危険を察知した佐々木は、飛び上がるときびすを返した。
─―!
自分の背後に公家がいた。
性格には公家かどうが分からない。
時代がかった羽織袴のようないでたちのそれには首がなかった。
脇を通って逃げる瞬間、“─―…”、何かを言われたという。
何を言われたのか分からないが、それは呪詛的な何かに思われた。



衰弱しきった佐々木から連絡を受け、新宿三丁目で裸足で座りこんでいる彼を発見。
私は救急車を呼んだ。
入院先の病院でしばらく経ってから、私はこの話を聞いた。
一度だけ、荷物を持って来ようと佐々木のマンションを訪ねたことがある。
(佐々木には反対された)
佐々木の部屋のドアに立つと、中から動物園でかぐような臭いがかすかにする。
新聞受けを開けてみると、臭いはより強くなった。
同時に、部屋の奥から「あん、あん、あん…」とかすれた女の声が聞こえる。
ドアを開ける勇気は、私にはなかった。



佐々木は現在、実家で療養中だ。
彼の母親が、連れてきた新興宗教の教祖と今度部屋に乗り込むつもりらしい。

そのとき、佐々木が見たものが何なのか。
また、佐々木だけが見た幻なのか。
この話に関するいろいろな決着がつくのかもしれない。



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【怖い話】 まもってくれないと…