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かつてこの国には、10万人をこえるスターソルジャーがいたという…。
現存する太古の文献によると、かつてこの国には10万人を超すスターソルジャーが存在し、飛来してきたブレイン軍を戦い、地球の平和を守ったという。黄の衣をまといて、10万人のスターソルジャーたちの頂点に君臨していた16連射のゴッドハンド。神具と謳われたジョイカードmk-II。1986年の暑い夏に何があったのか。その歴史の紐を解き明かしていこう―――。

レトロゲームレイダース/ジョーンズ博士だ。
今回発掘した作品は、1986年にハドソンより発売されたファミコンのシューティングゲーム『スターソルジャー』。この作品は、前年に発売された『 スターフォース 』(原作はテクモ、FC版開発?販売はハドソン)のゲーム性を進化させたため当初、コロコロコミック誌上では『 スーパースターフォース(仮) 』と発表されていた。しかしその後、テクモ自身から『 スーパースターフォース/時空暦の秘密 』の発売がリリースされたために、名前を『 スターソルジャー 』に変更した…という経緯のある作品。「他社の作品の続編を勝手に作っちまおう」というハドソンと、それを良しとしないテクモの
仁義無き闘いがあったとかなかったとか。

さて、そんな本作には「第2回TDK全国ファミコンキャラバン(通称キャラバン)」の公式スコアアタックコンテスト用ゲームという一面もある。このキャラバンとは、日本全国のファミコン少年?少女たちがスターソルジャーの5分間プレイでスコアを競い合い、各エリアの予選を突破した上位者で日本一を決めるというバブルだからこそ見れた“夢”のような祭典。「キャラパンの全国大会に出場できる」というのは、当時のファミコン少年少女にとってはこれ以上ないステータスであり、
「このキャラバンこそ、俺たちの甲子園だ!」と鼻息荒く語っていた筆者友人も今では一児の父親だ。
全国65ヵ所での予選開催、参加者数10万人強、おまけにキャラバンプロモーション用に高橋名人vs毛利名人の映画まで作られる…。一体どれだけの大人が働き、どれだけのお金が動いたことか。たかがゲームのことだけで、そんな熱風が日本全国に吹き荒れる。1986年とはそういう時代だったのだ。
「夏」といえばシューティングキャラバン…という時代があった

『 スターソルジャー 』とは、時代が時代だったからこそ注目を浴びた作品なのか? それは違う。『 スターソルジャー 』は、今なお通用する「ゲームの面白さ」が凝縮されている傑作である。
後に、PCエンジン、ニンテンドー64、ゲームキューブ、PS2、PSPなど、さまざまなハードで続編やリメイクが出ていますが、それら亜種でスターソルジャーシリーズを語るというのは軽率というもの。ソルジャーの神髄は「初代ファミコン版にあり、それ以降にはない」といって過言ではない。『 スターソルジャー 』のゲーム性はいたってシンプルだ。
“ 敵と障害物をひとつでも多く倒して点数を上げる ”…たったこれだけ。
このように書くと、ルーキーたちはこう思うかもしれない。「このゲームにやり込み要素はあるのかよ?」…と。それは心配は無用である。『 スターソルジャー 』の道には、
やり込み要素しかない!

『 スターソルジャー 』の武器はBボタンのショットのみ。これで空中を舞う敵と地上物の両方を倒すことができる。まさに、敵への撃ちこみを重視したシンプルな仕様です。ステージ中の地上物を撃つと出てくるパワーアイテムを取ると、二方向連射?三方向連射?五方向連射(バリアつき)とパワーアップしてゆく。特に五方向連射は、自機の全方位への攻撃が可能となるため、非常に重宝することになる。ここまでが基本の説明。
まず、覚えておかなければならないのは、ステージ中に隠れている「ゼグ」という名のZと書かれた地上物。これは一つ目の得点こそ500点だが、二つ目は4000点、三つ目は10000点、四つ目は40000点、五つ目には80000点をゲットできる。そのため、スコアアタックを狙うためには、
各ステージのゼグの場所を覚え、確実に破壊していくことが前提となる。

さらに注意すべきは、敵の出現の仕方だ。『 スターソルジャー 』の敵出現のタイミングは前の敵編隊が倒された後、もしくはすべて画面外から消えた後、という法則がある。つまりスコアアタックを狙うならば、敵を早く殲滅することが鉄則。そのためには、
出現位置を把握することが求められてくる。
そして大きなポイントは、倒し方によって莫大な点数を得られる敵がいるということ。その代表的が「ラザロ」だろう。ラザロは人の顔のような敵なのですが、登場時は四分割で画面の四方に出現。その後、上二つとした二つが合体し、やがてその二つも合体する。この時、上下ラザロの間に入って撃破すると80000点をゲット! 賢明な読者諸君なら気が付いていると思いますが、上下から迫ってくる敵への攻撃は五方向よりも三方向が有利だ(我らの高橋名人はこれが超絶上手かった!)。


ゲームプレイを追求する“恐るべき子どもたち”

さて、ここまで話せばなんとなく『 スターソルジャー 』の奥深さが伝わっただろうか。そう、このゲームでスコアアタックを狙うには、まずステージの地形を知り、敵の出現パターンを知り、ゼクの場所を把握し、状況に応じてあえて攻撃を食らいパワーダウンし、特定の方法で敵を必ず倒していく。また、敵を倒すタイミングが悪ければ、地上物のせいで敵まで弾が届かないという事態にも。だからこそ、倒す順番、倒すタイミングをすべて自分でコントロールし、まさに
“ゲームメイク”をしていく?超絶プレイ?が求められるのだ。
そんなプレイがはたして可能なのか。恐るべきことに、1986年のファミコン少年?少女たちはみんなそれを会得していました。キャラバン参加者は「キャラバン戦士」と呼ばれていましたが、彼ら?彼女らは、ゲーム大会に出ちゃったただのゲーム好きという枠を越え、卓越したテクニックとゲームセンスを持つ
レス?エンファンツ?テレブレス(恐るべき子どもたち)だったのだ。

1986年の夏に燃え上がったキャラバンヒートは、この『 スターソルジャー 』の中毒性があったからこそ。今、プレイしても初めての方はきっと一面もクリアできないはず。でも、もう一度やってみたらもう少し進めるはず。最初からパーフェクトな行動を目指す必要はない。まずは死なないように。そして先に進めるように。慣れてきたらゼグ探しを盛り込んで、敵の早期殲滅にチャレンジしてみたり。そうやって少しずつ少しずつ先に進めばいい。毎日ちょっとだけ。1プレイ分だけ、プレイしていく。そうして一年かけて一人前のソルジャーを目指していく。そんなスタイルで楽しむべき作品なのだ。
ステージは全16面。その後には難易度を増した裏ステージ全16面も! 一流のキャラバン戦士への道は長く険しいものだが、正しいゲーマーの姿とはそういうものなのかもしれない。お金に頼らない、チートに頼らない、実生活を捨てない。ガチだからこそ楽しい。『 スターソルジャー 』はそんな大切なことを思い出させてくれる、実にゲームらしいゲームなのである。
3dsttマジコンDSTTPR